オンライン依存性症候群

洋楽(以前は全般、次いでSmooth Jazz、最近はCafé Del Mar)とアニメが好きな人が、ネットレーベルの運営と音楽活動をしながらネットレーベルを旅していました。今はネットレーベルの運営を継続しつつアニメを観て、ここにその記録を書き記しています。

Kahvi Collective (kahvi351) Various - Threads / それにかこつけて

ネットレーベルネタは久しぶり。
出会ってからかれこれ11年になるKahvi Collectiveより、クリスマスのコンピレーション「Threads」がリリースとなりました。かつてはクリスマスシーズンになると連日リリースしていた時もありましたが、今年はそれをひとまとめにしたようなものだと勝手に決め付けます。
[kahvi351] Various - Threads

曲目

  1. Cinema Within - Drifting into a dreamlike state
  2. Ambientium - The beam
  3. Moodix - Porky big
  4. Pece - We used to have ideals
  5. Data Rebel vs Planet Boelex - Lost in dam central vs Exist (Planet Boelex Rebel rework)
  6. A2B2C2 - Deus
  7. Madstyle - Dark distance
  8. Solaris Sound System - Bells of resurrection
  9. Risch - Ishiki
  10. Coax - The spirit
  11. Caroline Jago - Threads
  12. Personunknown - Yellow lines unbroken
  13. Yimino - Mr pastry
  14. Alexander Chereshnev - Radiomoloko
  15. Madstyle - Ruhe pol
  16. Moroza Knozova - Haziondr
  17. MigloJE - Pherek ksyon
  18. Alkor - To the earth and back
  19. Madstyle - Tension
  20. Leniad - Farfields
  21. Anonymous3 - The soft cell
  22. Lackluster - Leaving
  23. Curious Inversions - Thread on the water
  24. Faex Optim - Schwarzgerat
  25. Yimino - Niblik
  26. Exosphere - In every soul
  27. Madstyle - In hope of mystic
  28. Aairial - Memories of a water drop
  29. Leniad - Snowy 1
  30. Wookiee - Solar wind
  31. Data Rebel - Continuum filter
  32. 4T Thieves - Cup of real time
  33. Spherecore - To get her
  34. Opaeq - Roatan 14
  35. Suecae Sounds - Spirit level
  36. Weldroid - Walking on a thin line
  37. Sektor & Clio - Shii
  38. Ambientium - Caves
  39. Opaeq - Kusa
  40. 4T Thieves - Moon forest (Threads version)

雑感というか本題

残念に思ったのはTr. 5が途切れていることです。また、VUメーターを見ながら聴いていると、リバーブやディレイ等の「余韻」が終わりきっていないのにトラックが終わってしまったり、トラックの初めからいきなり音が出たりなど、曲の先頭と末尾に無音部分がなかったりするのは気になります。
自作の曲では曲の先頭に0.2〜0.3秒ほど、曲の末尾に1.8〜1.7秒(または2.8〜2.7秒)ほどの無音を挿入していますし、最近のBump Footのリリースは私の方で簡素なマスタリングをすることもありますが、そこでも(ノンストップであるアルバムを除いて)自作の曲と同様に無音を挿入しています(長すぎる無音は短くすることもありますが)。
途切れたトラックというのはKahvi Collectiveの過去のリリースにも何度かありましたし、他のレーベルでもそういうものに遭遇します(当レーベルにも存在しているかもしれません)。今回のコンピレーションは外部のスタジオでマスタリングしたようですが、アーティストから送られてきた時点で途切れていた(経験から言うとこの可能性が高いです)のかは不明なものの、それをそのままリリースすることに疑問を感じます。
当レーベルではデモをチェックした際、途切れていると明確に知覚した場合は、それが不備であるか、或いは意図的なものなのかをアーティストに問い合わせます。回答に応じてファイルの再送を求めたり、確認の上でこちらでフェードアウト等の処理を施したりしています。
アーティストの中にも「余韻」をケアしない人が結構います。途切れた楽曲をデモにする人が結構います。ノンストップであるアルバムは別として、曲の先頭と末尾に無音のマージンを設けるのは当然のことと私は考えます。自分の作った楽曲をもっと丁寧に扱ってほしいと思います。

Bump Foor (foot200) Various Artists - Footprints 2

Bump Footがスタートして7年目の終わりが近づいてきました。そんな今日、エレクトロニカにインディートロニカ、アンビエントIDMトリップホップにジャズなど、さまざまなジャンルを擁するFoot sideが、200番目に到達しました。前回のアニヴァーサリー・コンピレーションは2009年の4月上旬でしたが、今回もなんとか4月です。

多くのネットレーベルが、その節目の番号にアニヴァーサリー・コンピレーションをリリースしているのに倣い、Foot sideからリリースしたことのあるアーティストたちによるオムニバス・アルバムとなっています。前回のコンピレーション以降に当レーベルに参加したアーティスト宛てに、今年の3月初日にメールを出し、3月末日を締め切りとして、随時トラックを受け取ってきました。

一応「2枚組」という形をとっていますが、今回はなぜか「Disc」ではなく「Part」となっています。Part 1の方が1曲多く、Part 2の方が4分ほど長いです。今回参加したアーティストは23人で、日本のPolitru氏など、前回のコンピレーションにも参加した方もいます。foot102からfoot199までの間に参加したアーティストは約54組いるので、半数には届きませんでした。

前回に引き続き、主にBump sideからリリースしてきた私も、このコンピレーションに参加してみました。曲自体は2009年にできあがっていたものの、当時のミキシングの拙さから「お蔵入り」になりかけていました(個人のサイト上でワーキングドラフトとして仮公開していたこともありました)が、最近バランス調整というものをやっと分かり始めてきて、これで出してもいいのではないかと判断しました。

前回はアーティストから受け取ったMP3をそのまま用い、タグだけ書き換えていましたが、どうしても各々の音量に違いがあるため、聞き手側で毎度音量調整する手間を強いられていたように思います(私個人としてはfoobar2000のreplaygain機能を使用していましたが)。今回はMP3圧縮する前の形式で受け付け、曲の両端に無音のマージンを加え、ある程度の音量調整も行い、同じエンコーダーの同じ設定でMP3変換をしました。簡単ではありますがマスタリングというものをしてみました。

アートワークは前回と同じくxNoleetに依頼しようかと思いましたが、その後コンタクトが取れなくなったため、私が担当しました。背景の色とか、テキストの色とか、そのまま盗んでしまいました。foot101からfoot199までのリリースを記していくところも。Bump Foot 5周年のコンピレーションのアートワークにも類似するところがあります。

Part 1

  1. The Night Before / Mystified (4:44)
  2. Shortlife Dreamline / Gridline (3:52)
  3. Daft Funk / Möbius (5:12)
  4. Glider / Noisesurfer (6:08)
  5. 1978 With A Horn / Kevin Bryce (2:58)
  6. Just Suppose / Ollie Cram (3:26)
  7. Weakwood / Alinoe (6:51)
  8. Moonlight / Chooko (3:01)
  9. Mystique Around / Elphy Ant (2:21)
  10. Susan Cupcake Avenger / Cagey House (1:55)
  11. Breakfast With No Gravity / Connaissance (4:32)
  12. Stormy Night, Amen / Domrafa (2:05)
  13. Year Of The Dragon / Megatone (2:47)

Part 2

  1. Fly Kids / Pinkerator (1:48)
  2. Project 5 / Tatsu (6:16)
  3. Time Tome / SpaceWine (3:28)
  4. He Has Bats In The Belfry / Nox (6:55)
  5. Silver Trinkets / Robot Junkyard (3:13)
  6. Her Naked Body (Voice Version) / EugeneKha (5:09)
  7. Cada Cuando / dmyra (4:04)
  8. Nay / Duis (3:05)
  9. Through The Window / Tatsu (7:52)
  10. Travel Of Walk / Politru (3:45)
  11. Perrito De Humo / Baradit (3:44)
  12. Everything Means Nothing Without One Little Thing / Younnat (4:36)

アートワーク

Kahvi Collective (kahvi313) Reii - Hiss me + The Places EP

http://www.kahvi.org/releases.php?release_number=313

Kahvi Collectiveにおける最初の作品「We fade away」(kahvi246)、そして前作「Drafts」(kahvi271)に続き、Reiiの第3作がリリースされました。2つのEPが合わさった形の本作は、またしても静謐なアンビエントで、お気に入りであります。

  1. The Secret Place
  2. Hello Machines
  3. Frozen Mono
  4. Sanctuary
  5. When you fall asleep Part 1
  6. When you fall asleep Part 2
  7. Circle
  8. Central Park
  9. Theatre Square

Bump Foot (foot187) monoLTD - Dissloved

new release : foot187

http://www.bumpfoot.net/foot187.html

Bump Footは久しぶりに更新を再開しました。monoLTDは、セルビアで2010年に結成されたトリップホップの三人組バンドです。このEPでは、ジャズをベースにした、女性ヴォーカルありのスムースでメロウな楽曲を聴くことができます。すでにフリーダウンロードで公開されているものですが、できるだけ多くの人に聞いてもらいたくて、さまざまなネットレーベルにも送っているらしいです。当レーベルとしても、是非ともラインアップに加えたい作品でしたので、彼らのプロモーションに一役買って出た次第です。

  1. Shades of Love (3:53)
  2. Remember! (4:50)
  3. I Don't Care (4:08)

以下に、収録曲の歌詞を載せておきます。

Shades of Love

Everyplace I go reminds me of you
When I look at the sky I see your face
Not a word from you I've ever heard
But I know you are there somewhere

Your face appears in the fallen leaves
Teases my eyes and then it disappears
I hear your voice in the cries of wind
I hear your voice in the silence of my soul

You were gone long before I was born
But I can feel you in my head
I should be running scared, running scared
But I'm embrassing you instead

Your face appears in the fallen leaves
Teases my eyes and then it disappears
I hear your voice in the cries of wind
I hear your voice in the silence of my soul

Remember!

You need me more
Than I need you
If you wanna go
Do it so
You need me more
So I won't plead you
But just remember

Be sure
You'll be back for more
I won't beg you my love
That's for sure
Tu es à moi pour toujours
Même si tu ne le sais pas
So remember

I Don't Care

I won't be there
If they need me the most
I won't be there

Cause I don't care
How much they need me today
I don't care

I won't answer the phone
Or call home
And say "I'm OK"

You were so sweet, discreet
And I will stay
Whatever they say

Tatsu - Turn The Lights On EP (RB02)

http://repeatbeat.tumblr.com/Releases
以前SoundCloudに上げていた「Turn The Lights On EP」が、この度ネットレーベルからリリースされました。2010年、9月下旬から11月上旬までちまちまと制作してきたEPは、一度デモをネットレーベルに送って、受理されました。しかしそのレーベルからはそれ以降の連絡が来ず、音沙汰なしでした。前にもそんなことがあったので、たぶんそうなるとは思っていましたが、予想通りでした。最近、Sequential 3のRuss Irvineが新たに「Repeat Beat」なるネットレーベルを立ち上げました。第一弾のリリースは、Bump FootでもおなじみのKrzhoです。Russからレーベルスタートのメールをもらい、当EPを送ってみたところ、どうやらその日のうちにリリースされたようです。

制作のきっかけ (再掲)

帰宅時には暗くなっていて、帰り道は街灯やら家屋の灯りを見ながら歩く今時分、それらにまつわる楽曲を作ってEPにしようと思い立ちました。ほぼ「何でもあり」なBump Footとは別に、「暗所を照らす灯火」を念頭にしたミニマル・アンビエント系のネットレーベルでも立ち上げようかと思ったこともあり、これはそのレーベルにおける初期のガイドラインも意識していた記憶があります。

概論 (再掲)

制作ペースが最も速くて楽しかった、2006年冬から2007年春にかけての「あの頃」への回帰などを狙っていると言えます。正弦波を何かと持ち出していたあの頃のように、本作は全て正弦波を使用しています。2009年にリリースした「Internet Dependence Syndrome」のような法則がまた発動しています。今回もBPMは全て奇数で、107、111、115、119、と等差になっています。

各論 (再掲)

1. Going Home At Dusk (6:26) [111BPM]

最初に取り掛かり、最初に出来上がった曲です。「夕暮れに帰宅」というタイトルで、今回のEPのコンセプトを定めるためにもこんな感じという風に。四つ打ちではなく、二つ打ちとでも言えます。ダウナーな雰囲気になっています。いつもこんな気分で家路に就いてるわけではないのですが。

2. Lazy Dance In The Dark (5:29) [107BPM]

実は2〜3年前に一度制作しかけて途中で放棄したのですが、今回のEPには合うんじゃないかと考え、記憶に残っていたのをもう一度打ち込み、後は今の自分が補完しました。前半は手拍子の四つ打ちで、後半はバスドラムと一緒に。シンセのサンプルのエンベロープをいじっていたら、フルートみたいな音になったので、「闇中のけだるい踊り」としました。森の中で火を焚いて、その周りをゆんゆんと踊っている集団のイメージ。

3. Turn The Lights On (6:01) [115BPM]

ここから雰囲気がガラッと変わり、いつものミニマルハウスになります。タイトルトラックです。曲中でタイトルコールした方がいいと思って、スピーチエンジンをいろいろ試したりしたのですが、巡音ルカに言ってもらうことで解決しました。当初は日本語スピーチエンジンも候補に挙がっていて、「たあんざらいつおん」とか、もろ日本語的な発音で世に出る可能性もありましたが、「それっぽく」聞こえる巡音ルカで決まりでした。

4. It Took So Much Time (6:17) [119BPM]

3曲が出来上がった状態で、このままだとタイトルトラックが浮くなー、とか、やっぱり4曲あった方がバランスいいよなー、と思っていたところ、何とか4曲目の座に来てくれました。これもいつものミニマルハウスです…というかそうじゃないと、EPのバランスがよくなっても、タイトルトラックが浮きっぱなしな状況は解消されませんので。FL Studioに付属しているシンセサイザー「Autogun」を用いています。

Waterplea - Rudiments (foot174) / Seimei & Taimei - Mediterranean Blue EP (bump154)

今回のリリースは、bumpサイドもfootサイドも「highly recommended」です。どちらも2人組ユニットによる作品であります。

[foot174] Waterplea - Rudiments

Alex InkinとPaul Pigalovによって結成されたロシアのユニットWaterpleaのミニアルバムは、浮遊感あるアンビエント4曲で、初めて聴いたときから気に入りました。他のレーベルにもデモを送っていて、どこからリリースするか検討していたようですが、最終的にBump Footを選んでくれました。Tr. 1「Satellite」では、「Rudimentsとは何か」が複数の言語で説明されており、その説明の中には日本語も含まれています。オリジナルテキストはアートワークに記されています。

[bump154] Seimei & Taimei - Mediterranean Blue EP

オランダはアムステルフェーン育ちのKawai兄弟(現在、兄のSeimei氏が18歳、弟のTaimei氏が16歳)によるEPです。地中海に影響を受けて制作されたタイトルトラックは、トランス風のシンセパッドがギターの反復フレーズと相まって、高揚感ある一曲となっています。ギターをフィーチャーしたバレアリックな「Guitarist」も爽やかで、新年度の始まりにふさわしい一作であると考えていました(当初のリリース予定は先週)。デモを受け取ったのは3月の初め頃で、今回の地震の後に楽曲を聴いて、改めて鼓舞させられました。始まりだけではなく、再開へ向けてのきっかけにもなりうると私は考えます。

昨夜の顛末というか

アメリカはオハイオのコロンバスを拠点とするネットレーベルDystopiaqにて、3月8日付けの「緊急」プレスリリースが出されました。

原文

It has been brought to my attention that Dystopiaq has been unintentionally involved in releasing “stolen” or “plagiarized” music. Our most recent release, Mzai’s Marionette, was submitted a few weeks ago by an individual claiming to be a trip-hop artist based out of Russia. However, as of March 7, we are now aware that many songs on this album were stolen from an artist recording under the name Escome and The FlyFox. I have contacted The FlyFox and am currently seeking a means to contact Escome.

I can not force any of you to do this, but I do encourage any Dystopiaq fan who downloaded Mzai to delete their release. If you posted about this release on any website, please do your best to delete any mention of the Mzai release.

If anyone has any information regarding Mzai or the origin of any of the songs on the release, please e-mail us at info [at] dystopiaq [dot] com.

We also request that any Russian-English speaker that can attempt to translate this letter for us to Russian, please contact us at info [at] dystopiaq [dot] com.

If anyone intends on trying to release stolen music on Dystopiaq, you must know that it won’t last for long. We will not tolerate any “artist” who wants to use Dystopiaq as a means to misrepresent art.

てきとーな意訳

Dystopiaqが「盗まれた」或いは「本物と偽った複製の」楽曲のリリースに意図せず関わったことが注意をひきました。私たちの最新のリリース、MzaiのMarionetteは、ロシアを拠点とするトリップホップアーティストを名乗るとある個人によって数週間前に送られました。しかし、3月7日現在、このアルバムの曲の多くがEscomeおよびThe FlyFox名義でレコーディングしたアーティストから盗まれたことが判明しています。すでにThe FlyFoxにコンタクトをとり、目下Escomeへのコンタクト手段を探しています。

こんなことは強いられないのですが、Mzai(のアルバム)をダウンロードしたDystopiaqファンには、リリースを削除することを薦めます。このリリースをどこかのウェブサイトに投稿したのなら、Mzaiのリリースへの言及を削除するよう最善を尽くしてください。

Mzaiやリリース内の楽曲の出自に関する情報をお持ちの方は、info [at] dystopiaq [dot] comまでメールをお送りください。

ロシア語と英語のスピーカーでこの文書をロシア語に翻訳して頂ける方が居りましたら、info [at] dystopiaq [dot] comまでお知らせください。

盗作の楽曲をDystopiaqからリリースしようとしている者は、それは長くはもたないことを知らなければなりません。Dystopiaqを偽りのアートの手段に利用しようとする「アーティスト」を、われわれは黙って許しておくわけにはいきません。

これを引き合いに出したのは、Bump Foot「盗まれた」或いは「本物と偽った複製の」楽曲のリリースに意図せず関わってしまったからです。
当レーベルに「アーティスト」からオファーがあったのは、確か一か月くらい前だったかもしれません。Dystopiaqよりは後でしょう。デモを聴いてそのクオリティの高さに感心し、ぜひともリリースしたいと考え、そして4月3日、その日となりました。サイトを更新した後は、リリースしたアーティストに「『リリースしました』メール」を出すのが慣わしになっているので、今回もそうしました。その際、Mzaiに送ったメールはエラーで返ってきました。たぶん一時的な不具合で、あとでもう一度送れば大丈夫だろうと考えました。
サイト更新から1時間半後、チューリッヒから「垂れ込み」が舞い込んで来ました。DEEPGOA's electronic sessionsの運営人から、これを読んでほしいというメールが来て、この一件を知った次第です。すぐさま当該のリリースをサスペンド状態にしました。Deepgoaによると、「アーティスト」は、ブルガリアのネットレーベルDusted Wax Kingdomからもリリースしていたようです。DystopiaqとDusted Wax Kingdomがそれぞれこのリリースにあてていたカタログ番号(dystopiaq015とDWK082)は、すでに他のリリースに置き換えられています。当レーベルも、これにあてたカタログ番号(foot174)を置き換えることにしています。
ネットレーベルは、楽曲を制作する側と公開する側の相互信頼で成り立っている面もあります。盗作か否かを判定するのは、曲を聴いても心当たりがなければ不可能です。「アーティスト」がオリジナルだと主張すれば、その楽曲に聴き憶えがない以上オリジナルなのであり、われわれレーベルもまたそう考える、ということになります。そうして、アーティストの楽曲が「アーティスト」によって盗まれたという事が、このネットレーベルシーンでも起こってしまいました。各々のレーベルが密に連絡を取り合うというのは、運営者どうしが単なるメールのやり取り以上の知り合いだったりしないとなかなか難しく、そういったネットレーベルの孤立独立の状況を、「アーティスト」は狙ってきたのかもしれません。
しかし、ネットレーベルシーンには熱心なリスナーやレビュアーがいます。今回の件に関しても、垂れ込みをもらったことで事態の収拾に至ることができました。Dystopiaqの言う通り、それは長くはもたないのです。ネットレーベルそれぞれはつながりはなくても、リスナーやレビュアーがシーンを見渡しています。他のレーベルに降りかかった事態を報告してくれます。アーティストとレーベルに接点がなくても、リスナーやレビュアーにはそれがあるかもしれません。アートを発信する側も受け取る側も、偽りのアートを許さない態勢を持っています。